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んでば、筆直しでもしますか。 

『あおにも染まず・・・・・・』

 (※この小説は、keyの『リトルバスターズ!』の美魚ルートのネタバレを多分に含んでおります。本編プレイ前の人は読まない事をお勧めします。まぁ、読みたければ読んでも問題ないですけれど。本編とは一線を画してますし・・・・・・汗々)

key公式hp「http://key.visualarts.gr.jp/
リトルバスターズ!公式hp「http://key.visualarts.gr.jp/newsoft/index.htm
原画師その1:樋上いたる嬢公式サイト(踊る小いたるさん)「http://park1.wakwak.com/~nyanyanko/i/index.html
原画師その2:Na-Ga様公式サイト(戦少女)「http://www.hcn.zaq.ne.jp/dna/
限定版小冊子表紙絵担当:伊澄れい様公式サイト(イヅミヤ)「http://www1.ttcn.ne.jp/~izumiya/



『あおにも染まず・・・・・・』

「ねぇ理樹くん・・・」
 お互いの熱が既に判らなく程抱きしめ、愛しあった後は理樹くんの身体を指で弄くりながら語り合うのはとても楽しいと思う。
「ん・・・?どうしたの“美魚”」
「うん・・・あのね・・・・・・」
 どうでも良い会話をしながら互いの身体を弄くり合う。それは次のキスまでの伏線。極端に欠けた理樹くんの思い出の欠片。私が“美鳥”だった頃の“美魚”の、他愛もない話。
 現実ではない。私と居る為に理樹くんが作り出した物語。
「ねぇ、理樹くん・・・問題出しても良い?」
「うん、良いよ。どんな問題?」
 それは理樹くんが私を“美魚”って呼んでくれる証。
 私の出す問題を、理樹くんは答えられない。
 それが、私が“美魚”である数少ない証。
「じゃあ、私がコンタクトにしたのは何月の何日でしょうか?」
「え・・・うーんと・・・5月の・・・何日だっけ・・・う~ん・・・・・・」
「難しかった?う~ん・・・じゃあ、正解したらご褒美にキスしてあげる」
「えっ!?」
「嫌・・・・・・?」
「え、あ・・・ううん!嫌じゃないよ!・・・よし!それなら頑張らないとね!」
 頑張って唸る理樹くんには悪いけど、この問題に答えはない。“美魚”も“美鳥”も、コンタクトなんか持ってないし、第一眼鏡をかける程視力なんか悪くない。
 そんな事も思い出せない理樹くんがそこにいる。私の事だけ必死に考えて、“美魚”との偽物の思い出を作っていく理樹くんがそこにいる。
 それだけが、今の私の幸せ。
 “美魚”として今を生きている“美鳥”の幸せ。
 ねぇ、“美魚”・・・・・・。
 今貴女は何処にいるの?
 貴女って言う白鳥は、うみのあおにも、そらのあおにも染まれずに、今も何処かを飛び続けているの?
 ねぇ、“美魚”・・・・・・。
 それは本当に幸せなの?
 貴女の本当の望みは、うみのあおでも、そらのあおでもなくて、もっともっと身近で手の届く場所にあったんじゃないの?
 ねぇ、“美魚”・・・・・・。
 貴女は本当にそれで良かったの?
 みんなみんな居なくなってしまったこの世界で、ただ彼方を目指して飛び続けて、飛び続けて・・・・・・。
 それで本当に良かったの・・・・・・?
「・・・・・・“美魚”?」
「ん?理樹くん、分かったかな?」
「・・・ゴメン・・・・・・ちょっと思い出せないや。確か5月の3週目くらいだったと思うんだけどな・・・・・・」
 ほら、“美魚”。理樹くんは忘れちゃったよ、貴女の事を・・・・・・。
「うん、良いよ。それでOK。特別にご褒美をあげちゃいます」
 重なり合う唇と唇。
 絡み合う舌と舌。
 触れ合う手と手。
 交じり合う視線と視線。
 焼ける肢体と肢体。
 火照る胸と胸。
 混じる想いと想い。
 熔ける性と性。
「あっ・・・あんっ!ああっ・・・!理樹くんっ!理樹くぅぅぅんっ!!!」
「“美魚”っ!僕っ!もうっ・・・・・・!」
「ああっ!きてぇっ!理樹くんっ!私もぉっ!私もぉっ・・・限界ぃっ・・・!」
 混じり合う理樹くんと“私”・・・・・・。
 混じり合う理樹くんと“美魚”・・・・・・。
 混じり合う理樹くんと“美鳥”・・・・・・。
「あああぁぁぁっっっ!!!!!!」
 絶頂の度に感じる喪失感。
 私が“美魚”である事の証明。 
 “美魚”が捨てた、この世界の“美魚”に許された本当に小さな救い。
 もう手に入れる事の出来ない幸せだと知っている筈なのに、肝心の“美魚”は既に忘れてしまっていて取り戻せない。
 “美魚”が望んだそれは、自分の全てを失う事だった。
 でもそれは、この世界では出来ない事だと知っている筈なのに。
 “美魚”はそれを望んでしまう。
 何度でも・・・・・・。
 何度でも・・・・・・。
 理樹くんを愛してしまう度に・・・・・・。
 何度でも・・・・・・。
 何度でも・・・・・・。
 理樹くんへの想いを知る度に・・・・・・。
 何度でも・・・・・・。
 何度でも・・・・・・。
「ねぇ、理樹くん・・・・・・」
 自分の本当の幸せに気付けない、可愛そうな白鳥を救えるのは理樹くんだけなんだから。
「私はだ~れだ?」
 今回は出来なかった。
 けれど忘れないように頑張ってくれた。
 私を拒絶して、“美魚”を救おうとしてくれた。
 それでも彼女を救えなかったから、理樹くんは傷ついてしまった。
 だから今は、貴女だけの“美魚”で居てあげる・・・・・・。
 理樹くんに他愛のない問題を出して、
 理樹くんにたくさん悩ませて、
 理樹くんにたくさんキスをして、
 理樹くんに私の身体を捧げて、
 どんな事でもしてあげる。
 だから、今度は“美魚”を。
 “美鳥”じゃない“美魚”を覚えていてあげて。
「・・・・・・難しい質問だね・・・・・・」
 ほら、そんなのも分からなくなってしまってる・・・・・・。
 そんなんじゃ、“美魚”は一生救えないよ・・・・・・?
 だから、今は傷ついた理樹くんの心を癒してあげる・・・・・・。
 何をしても良いよ?
 理樹くんの思うがままにして良いんだよ?
「分かんないか・・・・・・。でも良いよ。ご褒美、あげちゃう・・・・・・」
 あれれ?何でだろう。涙が出て来ちゃった。
 こんなにキスしてて嬉しいのに・・・・・・。
 こんなに抱きしめられてて嬉しいのに・・・・・・。
 こんなに愛されていて嬉しいのに・・・・・・。
 どうしてだろう、涙が止まらないよ・・・・・・。
「大丈夫?“美魚”?」
 その一言で、理解できた。
 私は・・・・・・。
 私は・・・・・・。
「ねぇ、本当に大丈夫?“美魚”?」
 私は・・・・・・。
 私は・・・・・・。
「大丈夫だよ・・・・・・理樹くん・・・・・・私は、大丈夫・・・・・・」
 私は・・・・・・。
 私は・・・・・・。
「ねぇ、理樹くん・・・・・・私は・・・だ~れだ?」

 私は、一瞬でも良いから理樹くんの“美鳥”で居たかったんだ・・・・・・。

「ごめん・・・・・・“美魚”・・・・・・」
 大丈夫だよ・・・・・・理樹くん。
 大丈夫だよ・・・・・・私は大丈夫。
 だから、愛してあげる。
 だから、癒してあげる。
「んっ・・・・・・」
 何度目かのキス。
 すっかり手慣れた理樹くんの愛撫。
 互いの熱を感じ合うだけの無意味な生殖行動。
 今日が終わって、全てが終わったその時に、全てが失われてしまう。
 もしそうであっても、今はこの快楽に身を任せよう。
 全てが消え去るその日まで・・・・・・。

                    ***

 隣で眠る理樹くんの横で、私も眠り続けている。
 気が付けば、私は私では無くなっていた。
 大丈夫、怖くない。
 また元の場所に戻るだけなのだから大丈夫。
 この止まらない涙も、たぶん何でもない。
 そう、思っていたのに・・・・・・。

「ありがとう・・・・・・“美鳥”・・・・・・」

 気が付けば、消えゆく私の手を握りしめていた理樹くんも涙を流していた。
 それは今まで有り得なかった事。
 それは理樹くんに訪れた僅かな変化。
 それは“美魚”と“美鳥”を救う、理樹くんの優しさと力。
「ありがとう・・・・・・理樹くん・・・・・・」
 私は、また理樹くんの邪魔をするかもしれないよ?
 私は、また理樹くんや酷い事しちゃうかもしれないよ?
 今まで私のした事を、許してくれるの?
「ごめんね・・・笑って別れたいのに・・・涙が止まらないや・・・・・・」
 身体が、消えていく・・・・・・。
 心が、消えていく・・・・・・。
 想いが、消えていく・・・・・・。
「ありがとう・・・・・・理樹くん・・・・・・」
 そして、さようなら・・・・・・。
 また、次の世界で会おうね・・・・・・。

(本当に、大好きだったよ・・・・・・)

 伝えたかった言葉は、もう聞こえないかもしれないけど。
 想いは届くよね、理樹くん・・・・・・?

『白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあおにも 染まずただよふ』

 ああ、“美魚”。貴女がこの歌が好きなもう一つの理由が分かったよ。
 ねぇ、“美魚”?
 次は幸せになってね?
 私はもう充分幸せを貰ったから、次は“美魚”の番だよ。
 理樹くん。
 次も、私達を愛してくれるかな・・・・・・?
 その時は、私達“美魚”を前よりもずっとずっと・・・・・・

 忘れないでいてね?

 気が付けば、元居た世界。
 海のあおも、空のあおも無い世界。
 全てが等しくあおに輝く世界。

 さぁ、始めよう。
 真実の世界へと至る。
 小さな小さな、希望の物語を・・・・・・。

                      ------end
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